6月5日から7日まで唐招提寺では鑑真和上像が特別開扉されていました。5日の土曜日に訪れた方に聞くと大変混雑していたそうです。私の訪れる7日は月曜日なのでそれほど混んでないことを祈りつつ、近鉄橿原線の西ノ京駅で下車しました。

西ノ京駅で下車した方は薬師寺と唐招提寺に行く方々が半分半分という感じでした。唐招提寺に向かう道には警備員の方が立たれ、参拝者の誘導をしており、迂回するルートを歩いて、唐招提寺に到着しました。

受付で拝観料を払い、境内に入ると目の前に金堂が見えました。天平建築で本当に良いお堂です。お堂の前にはたくさんの人がおり、金堂内に安置されている有名な三体の国宝仏を拝観していました。私も早速、お参り&拝観です。

中央の仏様からお参りしたかったのですが中央付近はたくさんの人がいましたので、まずは向かって右側からお参りです。中を覗くと大きな薬師如来立像が祀られていました。でも薬師如来の特徴である薬壺を持っていないので、薬師如来像という気がしません。古い薬師像は薬壺を持っていないのだと思っていましたが、後ほど来られた団体さんを引き連れたバスガイドさんの案内によると本来は薬壺を持っていたそうですが、紛失したのだそうです。右の扉からは薬師像以外に四天王の二体、梵天像を拝観できました。

次は向かって左の扉から中を覗きました。こちらにずっとお会いしたいと思っていた千手観音像が祀られていました。手が本当に千本ある貴重な千手観音像です。周りにいた方も「大きな像だ」等の驚嘆の声をあげており、三体の中では一番インパクトのある仏様です。真正面に立ち、少しかがむと目が合うような感じになるのでしばらくその体勢でいましたが、ありがたいと感じる良い像です。左の扉からは千手観音像以外に四天王像の二体、帝釈天像を拝観できました。

そして最後は中央の扉から中を覗くと如来像が祀られていました。「お釈迦様かな」と思いましたが、盧舎那仏だそうで、東大寺の大仏様と同じです。光背に化仏がたくさんあるのが印象的です。またまた団体の方々に対する案内を聞くと化仏は全部で862体あるそうで、280体ほどが創建当時のものだそうです。創建当時かどうかは使われている木で分かるそうです。「862体あるのが嘘だと思う人はどうぞ、数えて下さい」という説明には思わず笑ってしまいました。

金堂の次は講堂に行きました。中を覗くと大きな如来像が祀られていましたが、左手が降魔印をしていましたので、弥勒如来坐像だと分かりました。最近、弥勒信仰に興味がでてきたので、お会いできて良かったです。

次は鑑真和上像が祀られている御影堂です。長蛇の列ができているかと思いましたが、列はほとんどなく、拝観料500円を払って、中に入りました。ちなみに絵葉書を三枚頂きました。

歩を進めると焼香を待つ方々の列があり、焼香をせずに拝観だけの方はこちらにお願いしますと案内がありましたが、やはり、焼香をして鑑真和上像にお参りをしたいので焼香をする列に並びました。焼香を待つ列はスムーズに進み、すぐに焼香をすることができました。鑑真和上像に焼香することができ、本当に良かったです。

焼香が済んだ後、焼香をせずに拝観だけの方々のスペースに移動して、鑑真和上像を拝観しました。しばらくすると運良く一番前に座れましたので、そこから鑑真和上像を見つめていると偉大な師匠に教えをおそわっているような感じがしました。

御影堂の参拝ではお寺の方が立ったまま拝観している方々に「座って下さい」と注意をしていたのが好感を持てました。幾多の困難を乗り越えて日本に大切な教えを伝えてくれた鑑真和上。そのことに敬意を表すのは自然のことだと思います。また、御影堂にあった襖絵もとても綺麗なものでした。

次は新宝蔵に行きました。入館料100円を払い、入館するとたくさんの仏像が安置されていました。中央には大きな金剛界の大日如来像がいらっしゃいましたが、とても素晴らしい仏様でした。現段階の大日如来像のマイベスト3は、円成寺の運慶仏、石山寺多宝塔の快慶仏とこちらの宝蔵の像です。

「唐招提寺のトルソー」と呼ばれている像もありましたが、それよりも乾漆菩薩像、乾漆観音菩薩立像が私的には印象に残りました。乾漆菩薩像は非常の素朴な像で、仏像というよりはハニワなどのより古い時代のものを思い起こさせました。乾漆観音菩薩立像は案内には「表情には生彩に乏しく」とあまり良い紹介はされていませんでしたが、何か訴えかけるような像で、造った当時に観音様のような人がいて、その人を模した像ではないかと想像が膨らみました。

唐招提寺は鑑真和上像の御開扉のため、混雑していましたが、良いお寺めぐりでした。

唐招提寺金堂
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